〔057〕剱 岳 (2,999m)

標高差:2,249m

2006年08月15日(当時57歳)


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富山県上市町伊折外六ケ村
登り:7時間14分
下り:5時間28分
トータル:13時間12分 (休息時間含む)
深田久弥著の「日本百名山」から
  何よりその風采の豪毅にして颯爽たる点である。日本アルプスの高峰にはそれぞれの風格があるけれど、一つの尖端を頂点として胸の透くようなスッキリした金字塔を作っているのは、この剱岳と甲斐駒ヶ岳ぐらいだろう。
Road Map :北陸道を滑川ICで降りて県道51、67、333号線を経由して馬場島へ。帰りは立山ICからとする。
Route Map:馬場島から早月尾根を往復する。
長い長い下山路
 登山道を往復なので登っただけ下山することになるのであるが、下山の苦手な自分にとって何も見所のない早月尾根は退屈で長く辛い下山となる。標高2400m地点で掛ける抜ける”オコジョ”を見る。
一瞬の出来事で写真には撮れなかった。 オコジョを見ると幸せになるとの言い伝えがあるらしが、
その後、幸せなることはなかった。
 草月小屋で500mLのビール(700円)を呑むのだが、何故か酔いが廻ってしまい、下りを更に辛くした。
次は剱沢から
 次に剱に登る場合は小屋泊まりにはなるが、豪雪で崩壊した剱沢小屋が復旧する'07年当たりに室堂から登り、カニのタテバエ、ヨコバエを経験してみたい。
毛勝山(2,414m)
 登り時、6時間を切って登った登山者から、猫又山の奥に見えるのが ”毛勝山”と教えてくれた。
札幌で鉄人が盛んに三百名山中、一番難しい山と教えてくれた山だ。 1年の内、残雪期の5月〜6月しか登ることが出来ず、登山道は無いとか。 状況によってはザイルもピッケルも必要らしい。
下山時、一緒した人からも毛勝山の話しが出て、この辺のヤマラーには有名な山らしい。
何でそんなに難しい山を二百名山に入れるのかが素朴な疑問となる。
今日の温泉
 山頂であった若者に周辺の温泉を聞いてみたが、この辺には温泉はないとの返事。 下山後は河原に
行って体を水で拭いて着替えだけする。 立山ICに向っていると温泉はあったが行水した後なので温泉に入らずに帰る。
馬場島 標高1,000m 標高1,400m 標高1,600m 標高1,800m 早月小屋 標高2,400m 標高2,800m 分岐点 山頂
3:48 4:19 5:31 5:50 6:16 7:35 8:17 10:05 10:54 11:02
山頂 分岐点 標高2,800m 標高2,400m 早月小屋 標高1,800m 標高1,600m 標高1,400m 標高1,000m 馬場島
11:32 −− 12:12 13:25 13:48 14:59 15:20 15:34 16:35 17:00
登山道としては日本一の標高差
  馬場島から登る剱岳は標高差2,249mとなり、一般登山道としては日本有数の標高差となる。
標高日本一の富士山さえ五合目から登ると標高差はたったの 1,376mしかない。
(富士山は気圧の低さによる辛さが加味されるが・・・)
何故、馬場島から
  屋久島で会った一ノ越山荘のアルバイター、高宮君は景観の良さから ”剱岳に登るには絶対に室堂からがお勧め”と言っていたが、室堂までのアクセスの関係で日帰りは無理。 馬場島からは時間が掛かり面白くない登山道ではあろうが、早立ち、遅帰りで日帰りが可能な様である。 室堂からは別途、ゆっくりと縦走はしてみたい。
林道終点の石標横から登山道は始まる。
登山口となる馬場島キャンプ場。 正規の駐車場は100m程手前に
あるが、登山者は林道終点に車を停めている。 登山口の標高は750mであり、三千m級の山としてはスタート地点の標高が極端に低い。
登り始めは真っ暗だったので、登山口から5時過ぎまでの写真は下山後に撮っています。
誰もが写真に撮る ”試練と憧れ”の石碑。
正にその通りの山だった。
文学的な表現で良く判らないが、有り難い言葉が書いてあるんだろう。
登りも急になり、ヒノキと思われる巨木が現われ出した。
4時30分頃からは空が白みだし、ヘッデン無しでも
歩ける様になってきた。
登山口からの急登を15分程、頑張ると水平道になる。
実際はまだ真っ暗でヘッデンを付けて歩いている。
標高が低い性もあり、気温は20℃と高く、蒸し暑いのが堪えた。
1時間30分程歩くと東面に樹木の間から猫又の山々が見えてくる様になる。
ここからは見えていないが、もう少し登ると猫又山の向こうに日本で
一番登頂困難と言われている ”毛勝山”が見えてくる。
登山道には標高1,000mから始まって200m増す毎に
立派な表示が立っていた。 目標とするには有り難い
配慮ではあるが、歩いた感じでは本当に標高が合っ
ているのか疑ってしまう部分もあった。
南面にはクズバ山からの尾根筋が見えている。
小さく頭を出しているのは大日岳か?
登山道では抜かれてばかりであったが、3人組のハイカーに追い付いた。
1本のロープに複数人でぶら下がっており、これは初心者丸出しの
危険行為である。 後ろの方は尻の大きさから女性だったかも知れない。
早月尾根の登山道には水場がないが、1ヶ所だけ池塘があった。
水は汚く、水溜りの感じしかしないが周辺にはお花が沢山咲いていた。
早月小屋から見た ”大日岳”(2,606m)の大展望。 左端が ”室堂”になる。
3時間47分を要して ”早月小屋 ”に着く。
奥に ”赤谷山”からの尾根、手前は ”小窓尾根”が展望出来た。
標高が上がってくると気温も16℃まで下がり、吹き抜ける風が気持ち良い。
陽が差してきたので日焼け止めをたっぷりと塗る。
早月小屋の横にあった標識。標高差も2,400mと大きいが行程も8.3kmと長い。 蒸し暑さもあり小屋まででほとんどグロッキー状態、足はまだ動いてくれているが、超牛歩なので6時間での登頂は諦める。
早月尾根から見る剱岳は午前中は逆光となり写真にならない。
手前はこれから登る急峻な尾根道。
小屋までの4時間近い登りで既に足にきており、
小屋からの急登では足が進まなくなってくる。
標高2,400m地点を過ぎた辺りから見た南面の絶景。
中央の窪んだ所に ”室堂”があり、その向こうには ”薬師岳”が見えている。
5時間18分の地点で小さな残雪を歩く。 ここまで数名の登山者に抜かされたが、
初めて追い付いたのが写真の人。 朝2時半に出発したらしいのでかなりペースの
遅い人ではあるが、3度目の剱岳らしい。 うまくペースを合わせてくさり場での
モデルになって貰おうと思う。 (一緒に歩こうとしたが全然付いて来なかった)
登って来た登山道を振返り見る。
トラバース路が多いので、ここまでは見た目程の急峻部分はなかった。
登って来た早月尾根を振返り見る。
登山道はピークを越えているのではなく、トラバースしているのがよく判る。
登山道で休憩していたおじいさんと話しする。 年齢は80歳で一昨年から山登りを始めたらしい。 それも三千m級の山を自分では ”ヒョイヒョイ登っている!” と言われていた。
未だ現役で仕事をしているとか。 我が目標に
させてもらう為に写真を撮らせて頂いた。
山頂への後、標高200mの岩峰。
この後はガレ場となり、くさりを頼りに登ることになる。
6時間17分。 標高2,800mの地点、後200m
だが、これからが急登の正念場であるが、
疲労は既にピークに達している。
標高2,600m付近からだと ”室堂”が一望出来る様になり、走り去る自動車までも見て取れた。
こちらは人の少ない静かな尾根であるが、室堂は登山者と観光客でごった返しているものと
思われる。 室堂の標高は2,420mあり、室堂からの登りなら随分楽と思われる。
下山する登山者。 背中にはピッケルを装備しており、
剱沢雪渓から登って来たのか?  剱岳への登山者は
ズック靴の人も多く見かけ装備は様々であった。
”オニの角”とかの名前が付いていてもおかしくない双耳峰ならぬ
双耳岩。 オニが谷底を見ている様な格好であるので反対側の谷川から
見てみたい。 (ズームで撮影)
意外にも眼下に剱沢からの登山道が見え、カニのタテバエ、ヨコバエを登っている人が見えた。
”タテバエ”はもの凄く長い梯子が掛かっているのが見えた。
足にきており休憩しながらの歩きとなるが、くさり場でのモデルになってもらおうと思った
おっさんは全然付いて来ていない。 見える範囲には居ないので大休憩でもしているのかも。
山頂直下からはくさり場の連続となる。 周辺はガレ場であり、
登山者が後に来た場合は落石が多いので離れてもらう必要がある。
幸い、ここには登山者は居らず、注意勧告をすることはなかった。
こちらは”カニのヨコバエ”か!。
大きな岩峰のトラバースを横切っている登山者が見える。
分岐点から登って来たくさり場を振返ると
若者二人が信じられないハイペースで登って来た。
この後、山頂でこの二人に山座同定をしてして貰った。
7時間06分にて剱沢(室堂)からの登山道の ”分岐点”に着く。
ここをしっかり記憶しておかないと間違って下山すると
とんでもないことになってしまう。
山頂風景は札幌の鉄人が百名山達成で送ってくれた写真と同じだった。 それは当たり前か。 でもプレートは変わっており、もう一枚割れた
プレートが山頂ケルン側にあった。割れたプレートは2、998mだが、
新しいプレートは2,999mに標高が変更されていた。
登山コースの分岐点から ”剱岳”の山頂は直ぐ近くであった。
馬場島から6時間掛からずに登られたハイカーと少し話しする。
ハイペースの若者(大学生)は昨夜、剱に登ろうと決めて、今日は5時間で登ったらしい。
さっきの人は6時間を切っているので、7時間以上も掛かった俺が遅いだけなのだろう。
若者に山座同定して貰うが、ほとんどが知っている山ばかりだった。 アルプスの山々を
眺めるには剱岳よりも薬師岳の方が良かったと話しをすると自分達もそう思うと同意して
くれた。 自分が笠ヶ岳に登った時には雨だったので山容を見ることは出来なかったが、
ここから見る笠ヶ岳は槍ヶ岳に近いピラミダルな笠の形をしていた。
少し前までは富士山も見えたらしいが、今は雲に隠れてしまった。
南西方向に見える後立山。 昨年は五竜岳から剱岳を眺め、いつかは登りたいと思っていた
ものだが今日、実現出来た。 重労働に備えておにぎり3ヶを持ってきたが、喉を通らず、
2ヶまでは無理やり食べた。 30分程、景色を眺めて休憩してから下山する。
下山時、陽が当る様になった剱岳、小窓尾根を振返り見る。 小窓尾根は積雪期には縦走出来る
らしいが、ピッケルの要る様な山は御免こうむりたい。 早月尾根には水場がないので
900mLのペットボトル3本を持ってきたが、今日の暑さで3本を飲み切ってしまい、重い荷物な
がら持ってきた値打ちはあった。 軽量化を計りたい人は早月小屋で飲料水を買えば良いと思う。

登山開始
  3時30分に目覚めると、周りの車の人はごそごそと準備をし出した。 4時にはスタートしたい思いだったので、慌てて準備をし、3時48分に登山口に向うが、真っ暗の中、登山口がどこにあるのか判らない。 周辺の人がごそごそし出したのは朝飯の準備の様であり、朝飯を食べない自分がホールショットとなってしまった様だ。 後で判ったことであるが、自分がホールショットではなく、2時半にフライング気味でスタートした人と途中で出会った。

花姿の綺麗な ”ミヤマリンドウ”。
大弁5枚の間の小弁が特徴の様です。
つぼみを見ると確かにリンドウの仲間です。
いよいよ急登部分に差し掛かる。
右のピークが ”剱岳”山頂、右の尾根筋をくさりを頼りに登ることになる。
後日談
  こいつらが、いや失礼、この二人が馬場島から剱岳へ5時間で登った強健の若者です。 ”もっと遥かな山旅を”から我がHPを見付け、たまたまアドレスを載せ
ていたのでメールを貰いました。  足が早いはずで富山大学のワンダーフォーゲル部に所属しており現役バリバリのヤマラーらしいです。 右が大学3年生の伊藤君、左が大学2年生の小野君、共に中々のイケメンです。(言い過ぎ) これが彼らのワンダーフォーゲル部のHPです。ヒョウキンな連中が楽しく山歩きをしているのが羨ましいです。 「富山大学ワンダーフォーゲル部」 富山の山に関して詳しい情報があり。
日本百名山』 剱岳への日帰りは苦しい往復だったが、山頂からの展望は北アが一望出来る大絶景だった。
つるぎだけ
高台に登ると眼下に ”早月小屋”が見えた。 そして一気に展望が広がった。
一区切り付く場所であり、やれやれである。
”早月小屋”の裏にあった天場には3張りが設営されていたのみ。
しっかりしたくさりが張られているので、安全な道であった。
1mに泣いた剱岳
  従来、剱岳の標高は2、997mとされていたが、'04年の再測定にて、従来の測定点より1.5m高い岩塊があるのが見付かった。 +1.5m背が伸びたことになるが惜しくも三千mの大台には乗らなかった。 1mならケルンを高く積めば良いのでは・・・ これは標高にならないのか?
小屋の様子を聞いてみると、今日はガラ空きだが、昨日は
定員通りの約50名、一昨日は90名程が宿泊したらしい。
料金同じでの混雑はごめんである。
そろそろ稜線の分岐に出る手前から登って来た登山道を振り返り見る。
辛く長い登りを終えて11時02分、
7時間14分
を要して”剱岳”(2,999m)に着く。
今回の疲労は睡眠不足が災いしているかも・・・
ここまで3時間06分、標高2,000m、早月小屋
まであと1kmの表示。 3時間登っても後,
標高差 1,000mの登りが待っている。
2023年11月23日改定
登山道は急峻なので少し進めば標高を稼いでくれる。
稜線からの下山者も増えて来た。
ネット上に判り易い ”早月尾根登山ルート”があったので頂いた。(我がGPSデータは紛失した。)